峻空会トップページ > 特番 > 第49回日本空手協会全国大会観戦報告





49回日本空手協会全国大会が7月の8日(東京体育館)、9日(武道館)にて行われた。
結論から言えば残念ながら昨年のような完全制覇とはならなかったが、それでも幾つかの快挙と幾つかの無念を織り交ぜて今年も終了した。
無念の方から披露すれば、昨年の大会で個人形に学生ながら見事に決勝まで駒を進めた安藤郁真に、卒業した今年はいっそうの期待がかけられたが審判から些か不明なクレームが付いて減点され涙を呑み、同じく昨年三位の斉藤祐樹も僅差で入賞を逃す結果となった。

そして最も予想外の無念は女子組手、昨年のチャンピオン奥家が傍目にももうひとつ波に乗り切れずに準決勝で姿を消す事になり、今年こそは勝利の後に勢い良く胸に飛び込んでくると期待する某師範を絶望させる事になったが、奥家と斉藤は来月オーストラリアでの世界大会に向けて気を引き締める良い機会になったかもしれない。

学生女子は形、組手ともに精彩を欠き無念を越えて残念だった事を今後の奮起を促す意味も込めて書いておこう。

て、快挙の方も幾つもあるが、特出すべきは小林邦雄だろう。
平成元年卒業の小林は今年四十路を迎えるはず、組手こそ準々決勝で姿を消したが形は円熟しきった味と、それでいて些かも衰えない力感で堂々の二位を堅持した。
一昨年の世界大会の報告の中でも彼の頑張りに目を見張ったが、あれからまた二年が過ぎ、あの時でさえ「どうしても気力が続かない」と口にした勝負に対する年齢から来る淡白さを自ら叱咤し続けて乗り越えてきた小林邦雄、おそらく空手界で他に類を見ないであろう長きに亘る自己に対する統率の力は高く評価を受けるべき快挙と言える。
小林もまた8月のオーストラリア世界大会では日本の代表選手として出場するが、個人的には勝敗を超越した領域で空手道の持つ真の魅力を世界中の次世代を担う者に知らしめ、自らも心の底から集大成を愉しんで欲しいものだと願う。

子学生の活躍は目を見張るものがあり前代未聞の形15連覇を達成、組手も決勝で相手国士館を4:1で一方的に打ち破り平成15年から4連覇中である。

組手 優勝 男子チーム 形 優勝 男子チーム
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男子個人組み手の ベスト8に駒澤勢が小林杉山高杉(静岡選抜)、そして学生の伊藤と半分を占めたのも初の快挙である。
中でも昨年二位で指定の杉山の活躍は素晴らしく協会指導員二人を退けて決勝に進み、決勝こそ一歩及ばず二位に甘んじたとは言え見事だが、唇を噛み締める彼の胸の内は来年に向けて相当にタギッていたようだ、そして、熱くタギッた杉山が稽古に打ち込めば即ちそれが学生の肉ともなることで大いに期待したいところである。


今後に期待して学生ながら三位入賞 伊藤君のハンサムな顔を特別に披露しておこう
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写真提供:舞嶽公敬(プロカメラマン)

点42点台の熾烈な戦いを見事なまでの「壮鎮」でただ一人43点を超える高得点をマークした栗原一晃がついに個人形の頂点に立った。
栗原の力は昨年の大会に於いても先輩小林の勝利を脅かす勢いでその実力は証明済みのところで、この後しばらくは『形の頂上』から降りることの無い、まさに「形の栗原時代」が到来した事を世界に知らしめた様だ。
もっとも、彼の優勝は本人や支援者の中ではすでに織り込み済みだったようで、優勝の発表と同時に正面席の三階からはスルスルと

 優勝 栗原一晃

の垂れ幕(写真後方)が栗原の指導する茨城の生徒たちの手で下ろされ、今まで鎬を削りあって緊迫していた試合コート上や会場を一瞬にして和やかなムードを漂わせたのも栗原のもつ魅力と言えそうだ。


写真:舞嶽公敬
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49回目を迎える全国大会の歴史の中でもこの自信からくる用意周到さは前例も無く、今にして思えば40年前の『大石時代』に一度やってみたかったと今更ながら臍を噛む思いがする。
そして、8月の19,20日、オーストラリア世界大会での栗原の活躍が今から待ち遠しいし、彼の演じる豪快かつ正確な壮鎮は、きっと会場を埋め尽くす世界中からの観客たちを沈黙させ、そしてその後に割れんばかり絶賛の拍手が会場を沸かす事になるだろう。


      
第49回全国大会観戦記 完 N.Y

尚、8月19・20日の世界大会に峻空会より出場の選手を改めて紹介すると

【男子組手個人】:小林邦雄
【女子組手個人】:奥家沙都美
【男子形個人】:栗原一晃 斉藤祐樹
【男子組手団体】:杉山俊輔
【女子形団体】:東 千春

以上6名が日本選手団として出場、又、日本チーム監督は泉谷誠三君が務めます。
峻空会からは15名が応援に出かけ、気合を込めて応援いたす覚悟でおります。
大会の様子、観戦記は後日またこの場をもって報告いたしますのでお楽しみにお待ちください。


駒澤大学空手道部 峻空会
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