峻空会トップページ > 特番 > 第43回東日本大学空手道選手権大会


5月5日、五月晴れの日本武道館で行われた第43回東日本選手権大会において男子チームが素晴らしい出来栄えで大会を制覇した。
1回戦 山梨学院、2回戦 慶応、3回戦で明治大学をそれぞれ圧倒した選手たちは、その後の試合で一人ずつ選手の入れ替えを計りながら4回戦で国士舘大、準決勝の大正大学を退け決勝へと駒を進めた。

選手、指揮官共に昨年は一歩及ばず準優勝に甘んじた宿敵とも言える帝京大学との決勝戦に今年こそはとリベンジに燃ながらも同時に冷静さも失ってはいなかったようだった。
ここまでの試合数から選手たちの中にも足の生爪を剥がしたポイントゲッターの大木ほかほとんどの選手がどこかに怪我を負い、両校共に苦しい戦いになるのは必然、あとはどちらの精神力が相手を上回るかの勝負と言ったところだが、ここ何年間の駒澤の試合に見られたのは個々が素晴らしいものを有しながら一歩気迫に劣り勝ちをつかみ切れなかったり、ポイントで勝りながら一種冷静さを失った闇雲な試合運びに思いもよらぬ敗北を喫する傾向が見られたが今年はまったく違ったものを見せてくれた。



優勝を決め、晴れやかな笑顔と立てられた一本の指が誇らしい選手たち
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決勝戦の帝京大学戦、先鋒の佐藤龍冶(2年)は、ここまでの試合で大活躍であったが帝京大も早めの勝負を望んでの事か、それまで副将の位置で戦っていた190センチは有ろうかと思われる選手と相対し、はるか遠い間合いからの蹴りに苦戦し詰めきれずに敗退した。
ちょうど対角になる両校の応援席は選手の一挙手一挙手に沸くが、先鋒戦を勝ったこの時ばかりは敵陣では早くも半ば優勝を手中に収めたかのごとくに沸き上がっていた。

次峰 竹田純哉(3年)昨年の駒澤スポーツにも特集された「最強の二年生トリオ」の一角で3年生になった今年もその記事に恥じない活躍ぶりであった。
聞けば対戦相手は出身校(高校)の後輩とかで、試合中には上段に反則の突きを受け足から崩れる場面もあったが駒沢の、そして先輩の意地からかすっくと立ち上がって見事な勝ちをおさめてくれた。


中堅 志村龍己(3年)最強トリオの一人として益々磨きがかかったか、正直なところ今年の大会を通して最も安定した選手と言える。
無駄のない突技、蹴技は確実に間合いを詰めた上で繰り出され全戦全勝の見事さで優勝に大いに貢献した。


副将 大木正歳(3年)これもトリオの一人、大木の活躍も見事の一言に尽きるが、試合中何度もテープを巻き直す左足親指の爪の剥がれは後半一段と彼を苦しめたようで持ち味である進退のスピードと踏ん張りに影響が出たのかこの日初めての負けを喫し顔をゆがめた。

試合の流れはこれで二勝二敗、いよいよ最後の大将戦にもつれ込む。

大将の伊藤龍也(4年)は、この日ここまでの試合では今ひとつ波に乗り切れず落とした試合や途中外されるといった出来事に新主将としての心中に期すものは並み大抵ではなかったことだろう。
そんな伊藤のアドレナリンは出まくって試合開始と同時に立て続けの前蹴で3連続のポイントを連取、最後の最後で波に乗り切った伊藤に対し敵はじりじりと後退を余儀なくされ完勝の内に勝負を決め、主将らしく見事チームを勝利に導いたのは優勝の喜びと同時にこれからの伊藤の大きな宝となったことだろう。

今の気持ち! そこは現代っ子、本当はこんなポーズがとりたかった様だ
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もう一枚、まさに鬼の目に涙とも言える試合直後の伊藤主将の写真を最後の最後の活躍に免じて載せる事にしよう。

かくして今年の東日本を見事制した男子チームには昨年一歩及ばなかった念願の学生全日本奪取の実現に大きな可能性を見せてくれた。
今年より正式に就任した杉山俊輔監督もすっかりと監督振りが板につき審判へ抗議するなど選手からも安心感と信頼を得ているように見られたのも今後の大きな好材料と言える。

ただ残念なのは善戦しながらあと一枚駒不足が否めない女子チームに奮起を促したい。
そんな中でも一年生に大いなる期待の持てそうな選手も目に付き、彼女たちが一日も早く先輩たちを押しのけて活躍してくれる事を最後に期待し観戦記を閉じる事にする。



第43回 東日本大会の観戦記 N,Y


駒澤大学空手道部 峻空会
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